2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653018
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
安土竜 デウイット 立教大学, 経済学部, 教授 (80281757)
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Keywords | 経済政策 / 環境政策 / 再生可能エネルギー |
Research Abstract |
本プロジェクトにおいては、日本が採用する、特に再生可能エネルギー転換の政策についての研究を継続して行った。再生可能エネルギーや環境技術に関連する産業は、次代の成長産業として見込まれているが、これまでの日本政府によるエネルギー転換のための政策は鈍い。その理由を探求するために、政治家や官僚の役割に注目し、文献資料の収集やインタビュー調査を行った。日本のケース調査を進める一方で、東アジア・北米・EUの国々(中国、ドイツ等)における政策や制度の調査も行った。具体的には、カリフォルニア州サンタバーバラ市や、オーストラリアのブリスベン市において、現地の専門家や、実際に再生可能エネルギー市場で働く人々にインタビューを行い、意見交換をした。その際、設備見学等も行った。これらの国々において、連邦、州、都市のレベルで再生可能エネルギーの促進に対処するために、公的部門がどのような役割を果たしているのか(例えば、固定価格買い取り制度はどのような影響を持っているのか)、それによりどの程度の新たな雇用が創出されたか研究を行った。資料収集や日本の政策決定過程の参加者(政治家、官僚、業界の代表者、研究者)に対するインタビューも行った。気候変動、ピークオイルなど、益々深刻化している課題は、その解決においてどれもスピードが重要である。再生可能エネルギーはその解決に大きな役割を果たすことが期待されるが、本研究を通して、再生可能エネルギーをいち早く普及するにはあらゆる政策(炭素税や炭素取引制度など)の中で、買い取り制度が最も効果的な政策であることがわかった。そして、買い取り制度は、太陽光発電に限定するのではなく、あらゆる再生可能エネルギーを対象とし、その買い取りは余剰分ではなく全量買い取りが最も効果的であることがわかった。
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