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2011 Fiscal Year Annual Research Report

「満」独関係と阿片

Research Project

Project/Area Number 22653020
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

熊野 直樹  九州大学, 法学研究院, 教授 (50264007)

Keywords「満州国」 / ナチス・ドイツ / 阿片 / モルヒネ / 第二次世界大戦 / 「満」独通商協定 / ヴォールタート / 安楽死
Research Abstract

当該年度に実施した研究の最大の成果が、第二次世界大戦における「満洲国」とナチス・ドイツの間でなされていた阿片貿易を実際に担った企業、担当者、貿易ルートがかなりの程度明らかになったことである。とりわけ1942年における「満」独間の阿片貿易の実態を示すドイツ企業の書簡群を国立国会図書館憲政資料室に所蔵されているGHQ文書において発掘できたことは、最大の研究成果である。これらの文書群は、従来国際学界において全く知られていなかったものである。この文書群の発掘によって、「満」独阿片貿易の実態をかなりの程度解明することができた。当初の予想通り、「満」独阿片貿易は、日本が中継地点(横浜港、神戸港)として大きな役割を演じており、第二次世界大戦中、日「満」独の阿片三角貿易なるものが存在していたことが浮き彫りになってきた。
さらに、ナチス・ドイツ敗北後、ドイツが「満洲国」から購入した阿片やモルヒネ、さらにはコカの葉(コカインの原料)を日本が買い取っていた史実も発掘できた。ドイツ側は、日本側に買い取ってもらった阿片やモルヒネ並びにコカの葉の代金によって、日本に在留していたドイツ人の生活費に充てるべく模索していた。その際のドイツ側の責任者がドイツ経済使節団の団長ヘルムート・ヴォールタートであり、彼こそが、旧「満」独の阿片三角貿易のドイツ側の現地の最高責任者であったこともまた判明した。
そもそもナチス・ドイツが「満洲国」から輸入した阿片は、戦時中のドイツにおいて主にモルヒネとして医療用として利用されていた。実は、精神障害者施設において大人や子供の安楽死に利用されていたのが、モルヒネであった。ナチス・ドイツは、戦時中、秘かに精神障害者施設においてドイツ人の重度の精神並びに身体障害者を安楽死させていたが、その際、毒薬として利用されていたのがモルヒネであった。従来、ドイツは阿片を100%輸入に依存しており、第二次世界大戦中、上記のように「満洲国」から主に阿片を輸入していたのであった。「満洲国」から輸入した阿片が、モルヒネとして安楽死に利用されていた可能性は極めて高く、今後はこのルート及びそれに関係したアクターの解明が誤嶺となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的を達成するために、とりわけ重要であったのが、関連史料の発掘であったが、この間、重要な史料群を国立国会図書館憲政資料室に所蔵されているGHQ/SCAP文書において多数発掘することができた。そのため本研究は、当初の計画以上に進展することができたといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究課題の推進方策は、引き続き関連吏料の発掘に努めることである。今後も国立国会図書館憲政資料室に所蔵されているGHQ/SCAP文書の調査・収集を行うとともに、ドイツの外交史料館、ドイツ連邦文書館、ヴァイマル中央州立文書館、イエーナ大学の大学文書館で関連史料の発掘を行う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ドイツ土地改革者同盟と膠州湾租借地の土地政策2011

    • Author(s)
      熊野直樹
    • Journal Title

      法政研究

      Volume: 78巻3号 Pages: 109-149

  • [Presentation] 第二次世界大戦における「満」独関係と阿片2011

    • Author(s)
      熊野直樹
    • Organizer
      欧亜関係史研究会
    • Place of Presentation
      成城大学法学部
    • Year and Date
      2011-10-08

URL: 

Published: 2013-06-26  

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