2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22653024
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
鈴木 泰 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (00350752)
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Keywords | 制度 / 正義 / 公平 / インフォーマル制度 / 平等主義 / 制度経済学 / 経済哲学 |
Research Abstract |
本研究は、西洋と東洋における各儀礼が有する合理的基盤を、経済学的手法にて比較することにより、インフォーマル制度構造の比較分析を行ない、日本(東洋)経済システムの独自性を彩る基盤構造を明らかにする学問領域を切り開くことを目的とした。ゴッフマン(Erving Goffman)の『儀礼としての相互行為』(Interaction Ritual)を読み込む過程で、「公平性(Justice as fairness)」や「平等意識(Equality, Egalitarianism)」がどのように集団社会において醸成されているかの相違について比較分析することが重要と感ずるに至った。そこで、ロンドン大学SOASの「法と経済」(Economic Approach to Law)の専門家であるAmanda Perry-Kessaris教授のアドバイスを受け、法制度と経済の社会学的アプローチ法と、制度経済学のアプローチ法との相違点を明確にするというトランスディシプリナリーな研究を進めた。加えて、同大学バークベック校の政治哲学を専門とするAdam Gearey博士のアドバイスを受け「Social Justice」(社会における公平性)および「Global Justice」(国際社会における公平性)の捉え方に関し、政治哲学からのアプローチと、制度経済学からのアプローチとの相違点を明らかにするとともに、西洋と日本との「Justice」の捉え方の違いを考察した。John RawlsのA Theory of Justice(日本語訳では正義論)に投げかけられている様々な批判(特にアマルティア・センによる「義務論」上の批判等)を制度経済学・政治経済学のフレームワークで吟味し、日本の政治経済枠組みからRawls正義論の再評価を試みた。研究成果として、Social Justiceに対する考察は、政策情報学会誌に発表し、また、Global Justiceに対する考察はGlobal Ethics(Routledge)に投稿し、査読Reviewを受けている。加えて、本研究の成果をまとめ、「制度政治経済哲学へのステップ」(仮題)とのタイトルで著作を発表する予定としている。
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