2010 Fiscal Year Annual Research Report
異質な消費者が存在する場合のヘドニック評価値の過大推定率の上下限に関する研究
Project/Area Number |
22653029
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
肥田野 登 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (90111658)
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Keywords | ヘドニック / キャピタリゼーション仮説 / 一般化過大評価定理 |
Research Abstract |
公共政策の評価のためにはヘドニックアプローチは極めて有効である。本研究では異質な消費者の存在を前提としたヘドニックアプローチの理論の再検討と適用可能性を探る。本年度は(1)異質な消費者が存在する場合、uniform national dividend scheme下で金本の一致定理(Econometrica,1988)(r2-r1)H-C=Vがどの程度成立するかの検討の上で、所有権のある場合について検討し新たに一般化過大評価定理を証明できた。金本は2地域2タイプの場合について証明している。しかしこの場合はVの基準となるEV(equivalent variatlon)の価格は改善されない地域のものを用いている。しかしこの価格をもちる妥当性は多地域多タイプの場合は明らかでない。今回拡張し一般化過大評価定理の特徴は異質な消費者の効用変化を定義するため、同一タイプについては支出関数の最小なる値を基準とすることで過大評価が成立することを示した点にある。さらに土地所有について任意の保有率で可能となる定理である。また(2)異質の消費者を前提としたキャピタリゼーション仮説の理論による過大推定率と計量経済モデルによる効用関数推定による便益評価の比較検討をおこなうために、北海道札幌市のCVMデータによって得られた立地データから確率効用理論によって効用関数を推定した。この際地価についてはCVMデータにないため、実取引データからヘドニツク価格関数を推定し、回答者の立地地点のデータから推定した値を用いた。これによって同質的な場合については過大評価率が小さいことを示した。この結果はこれまでほとんど世界で検証されていないもので画期的といえる。今後はこれを異質な消費者に拡大する予定である。
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