2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
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Keywords | 経済実験 / 男性ホルモン / 昇進 / 大相撲 / 2D:4D |
Research Abstract |
本研究の目的は、胎児期テストステロンの暴露量の指標である人差し指と薬指の長さの比率(2D:4D比率)が競争的環境でのパフォーマンスに与える影響を、大相撲の力士の成績と経済実験を用いて検証することである。2D:4D比率が小さいほど、胎児期のテストステロン暴露量が小さいという研究があり、2D:4D比率が小さいほど、いくつかのスポーツ競技ではパフォーマンスが高いこと、金融トレーダーでの成績がいいこと、金融業界への就職率が高いことなどの実証研究が知られている。このうち、大相撲の力士については、引退した力士について、大相撲博物館に所蔵されている手形から2D:4D比を計測し、生涯最高位および幕内での生涯勝率との関係を計量経済学的に分析した。引退した力士にサンプルを限ったのは、現役の力士の場合には、将来の昇進の可能性があるため、成績の指標が正確ではなくなるからである。また、手形から計測した指の長さが正確なものかを確認するために、鮮明な手形が得られている現役力士9名について、指の長さを直接計測し、その相関が非常に高いことを確認した。これらのデータをもとに、身長、体重などの力士の属性をコントロールした上で、2D:4D比と、生涯最高位および幕内勝率の間に負の相関が存在することを確認した。一方、競争選好を計測する経済実験において、被験者の2D:4D比を計測し、両者の関係を統計的に分析したが、競争選好と2D:4D比の間には、統計的に有意な相関は観測されなかった。
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Research Products
(6 results)