2010 Fiscal Year Annual Research Report
複数通貨並行流通の費用・便益分析 ―ラオス現地調査データに基づく分析―
Project/Area Number |
22653036
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橘 永久 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (70301017)
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Keywords | 競合通貨 / ラオス / 現地調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一国内で複数通貨が並行流通する競合通貨制に関して、現金通貨流通量を計測した上で実証分析を行うことである。調査は、自国通貨Kip・タイバーツ・米ドルの三通貨が並行流通しているラオス人民民主共和国において実施する。 結論から述べれば、家計と企業を対象とした聞き取り調査を断念し,商店の受け取り(使用)通貨調査に的を絞った。その代わり、調査実施地域を、ひとつの特別区を除くラオス全16県に拡大した。詳細は以下の通り。 2010年7月14日から29日、首都Vientianeと北部のBokeo、Luang Namthaの3県で、家計・企業を対象とした予備調査を実施。個人・企業ともに、使用通貨に関する質問に対して、拒絶や虚偽の回答を示す頻度が高いことが分かった。ラオス中央銀行が、2008年度以降繰り広げた、自国通貨(Kip)使用奨励キャンペーンの影響と思われる。 2010年9月2日から30日まで、VientianeとChampasak、Sekong、Attapeuの南部3県で第2回調査を実施。前半は、家計・企業を対象とした調査用の質問票改訂に費やした。聞き取り方法に関して工夫を重ねたが、中央銀行のキャンペーンの影響は大きく、信頼できるデータを得られる可能性は低いと判断せざるをえなかった。現地研究協力者Somchith Souksavath氏と協議のうえ、商店での使用通貨調査に的を絞ることにした。この調査も、調査員が訪れた商店で代表的と思われる商品の価格を尋ね、回答に用いられた通貨名とその他の通貨での支払い可能性に関する商店の回答を記録する方式に変更した。調査であることを回答者に告げないことから、バイアスの低い正確なデータの収集が期待できる。各通貨の現金通貨流通量は、受け取りに関する諾否回答の比率から推定できる。2011年2月28日から3月26日にかけて、研究代表者と現地研究協力者が手分けして、ラオス16県で調査実施した。全土で1万件の回答を目指したが、農業県では商店自体の数が少ないこともあり、6千件程度のデータとなった。データの入力は、次年度に行う。
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Research Products
(1 results)