2011 Fiscal Year Annual Research Report
広島の神楽の継承・興隆と地域の経済発展に向けた地域戦略と運営
Project/Area Number |
22653043
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
赤岡 功 県立広島大学, 学長 (10025190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日置 弘一郎 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (70114022)
藤井 秀樹 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80173392)
伴谷 晃二 エリザベト音楽大学, 音楽学部長・教授 (40289244)
崔 俊 星城大学, 経営学部, 教授 (50387908)
赤岡 広周 徳山大学, 経済学部, 講師 (70571074)
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Keywords | 広島神楽 / 固有文化 / 交互イノベーション / 創浩的破壊 / 地域資源開発経営学 |
Research Abstract |
1)本年の目的は、広島県の神楽の5類型の特性をもたらした要因と各神楽の興隆・衰微についての調査分析、2)神楽のイノベーションの研究、3)広島県および他府県の大学生における神楽等への意識調査であった。1)については、5類型のうち芸北神楽が突出して興隆しているが、それは、同神楽が、シュンペーターのいう「創造的破壊」を敢行しそれが大衆の支持をうけたことによることが明らかになった。芸北神楽の大革新は伝統的神楽の継承を重視する立場から神楽から逸脱していると厳しい指弾をうけ、革新推進か撤退かの決断に迫られ、批判を飛躍のバネとして都市部の大劇場上演での公演に踏切り、それが大衆に圧倒的に支持されたことによる。 2)(1)この成功に刺激をうけ、伝統的神楽も一部・あるいは大幅に革新を取り入れる神楽団が現れ、(2)広く神楽への関心のたかまりによって、国の無形重要文化財の指定を受けていて伝統を強く継承する神楽も、勢いを取り戻しつつある。 3)の大学生への意識調査は聞き取り調査にとどまっているが、多くは神楽は、よくしらないままで無関心であり、しかし一度広島神楽をみると強く関心を示すことがわかっている。なお、神楽への関心と調査は、宝塚歌劇団等によっても示され、調査結果の展示会も行われている。さらに、高校生の神楽甲子園、広島神楽の東京公演が開催され盛況であったが、なぜ、広島神楽が、大革新にすすみ、それが交互革新という形で、革新の相互促進が広島で起こったか、また、それが広島の人々の生活と地域社会の振興とどう関わっているかは、神楽を地域の文化資源ととらえると、地域資源開発経営学として理論的に考察できるという重要な着想を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の1)2)については、理論的研究と仮説の構築について、当初の計画以上の質的な進展をみている。そして、当初、地域学の構築へ貢献できると予想していたが、地域資源開発経営学という、地域振興について重要な寄与ができる理論の序論が形成されつつある。これは、予想以上の成果と考える。他方、3)については調査票は作ったものの、予算の不足で調査を開始できていない。聞き取りを行って補っているにとどまる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)2)については、さらに進展ができる。また、地域資源開発経営学については、全国的な学会創設にむけて、まず、広島神楽によるひとづくり、地域振興研究の学会を立ち上げ、多くの研究者の知見を結集できると考えている。 3)については、今年度聞き取り調査を拡大することで、ある程度目的を達成したい。
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Research Products
(9 results)