2010 Fiscal Year Annual Research Report
マーケティング理論の再解釈に向けて:非営利組織研究と関係性概念
Project/Area Number |
22653050
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
石井 淳蔵 流通科学大学, 商学部, 教授 (50093498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 健 山口大学, 経済学部, 准教授 (50311816)
高室 裕史 流通科学大学, 商学部, 准教授 (30368592)
明神 実枝 中村学園大学, 流通科学部, 講師 (60461480)
水越 康介 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (60404951)
横山 斉理 流通科学大学, 商学部, 准教授 (70461126)
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Keywords | マーケティング論 / 非営利組織 / 関係性 / サービス |
Research Abstract |
本研究では、マーケティング論の再解釈に向けて、非営利・公共組織のマーケティング論における関係性概念の検討が行われた。研究初年度となった本年は、非営利・公共組織のマーケティング論の理論的再検討が行われるとともに、具体的な事例分析について、それぞれの研究が進められた。 理論的再検討では、1960年代後半からの概念拡張論争において、今日一般化された交換概念とは別に、ニーズ概念の深化を通じてマーケティング概念の拡張を図ろうとする研究指針が存在していたことが確認された。この試みは、純粋な形で展開されることはなかったものの、今日では関係性概念の中の包括される可能性が高いことも確認された。 事例分析では、第一に関係性概念が暗黙の裡に重要視されてきたことが確認された。また、戦略策定よりも、実行の中で何かが見いだされる場合が多いようである。利害関係者の多様性が確認されるとともに、彼らとのミクロな交渉プロセスがニーズの形成や目的の達成において意味を持つことが示された。NPO、病院組織、あるいは商店街など広く研究が進められ、これらのプロセスはきわめて個別的であり、一般的な命題として抽出することの困難性も確認された。さらにいえば、一般的な命題とよばれるもの自体が、ミクロな交渉プロセスでは交渉の道具として利用されることが示され、一種の再帰性が重要になるものと考えられた。これらの発見は、研究上の方法論についても、新たな分析枠組みや視座が必要となる可能性を示唆している。
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Research Products
(11 results)