2010 Fiscal Year Annual Research Report
科学社会学と学説史研究の統合による社会学の課題発見の研究
Project/Area Number |
22653054
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太郎丸 博 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60273570)
|
Keywords | 社会学の社会学 / 科学計量学 / 知識土会学 / 計量社会学 / 社会ネットワーク分析 / 公共社会学 / 引用分析 / 科学社会学 |
Research Abstract |
2006年の日本社会学会名簿から半分の会員を系統抽出し、その専門分野と所属大学などの情報をデータとして入力した。その結果、日本の社会学で専攻している社会学者の多い上位5分野は、下記のとおりであった。1福祉医療、2コミュニケーション、3家族、4文化、5宗教。これを過去の同様の研究成果と比較すると、社会哲学・社会学史や一般理論を専攻する社会学者の減少が顕著である。また、専門分野間の距離を専攻する社会学者の重なり(クルチンスキの類似性尺度)で測定すると、組織論と産業労働が最も近接しており、哲学学史と一般理論、家族と性世代が2,3番目に近接していることがわかった。さらにこのような専門分野の重なりを、多次元尺度構成法で2~3次元空間に布置した。とうぜん規模の大きな専門分野が中心に来るが、明確なスター構造は見られず、全体のハブになるような分野が存在するとは言えなかった。 また、1952~2010年のあいだに『社会学評論』と『ソシオロジ』に掲載された論文で用いられた方法を、1理論、2計量、3エスノグラフィー、4歴史、5数理に分類し、時代によって用いられる方法論がどのように変化してきたのか分析した。1990年代ごろから理論研究の比率が下がり、歴史とエスノグラフィーの比率が増加していることがわかった。2008年までのデータは2009年の時点ですでに入力・分析済みであったが、今回2010年のデータを追加し、データのクリーニングを徹底して既存データの欠損値を減らして分析したが、特に傾向に変化は見られなかった。 これらの成果の一部は、依頼された原稿や学会で発表した。
|
Research Products
(3 results)