2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653070
|
Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
張 貞京 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (50551975)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石野 美也子 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (50418597)
|
Keywords | 知的障害 / 老い / 死 / 不安 / デス・エデュケーション / 学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は知的障害者が自分と身近な人の老いや死を意識し不安を感じていることを本人の語りから明らかにし、当事者としてそれらと向き合うための心理・社会的援助の方法および内容をデス・エデュケーションとして構築することである。2010年度は知的障害者へのインタビューを実施しつつ、A施設の取り組みを明らかにした。また、先行研究の検索より、知的障害者のためのデス・エデュケーション構築の必要性について明らかにした。老いや死への不安を感じる人は10年前より増えており、「歩けなくなる」、「仕事できなくなる」などを理由として挙げている。その一方で、「運動したい」、「仕事続けたい」、「仕方がない」などと老いとの付き合い方を探り、「誰でも」、「神様が決める」、「生まれ変わる」といった自然な流れとして死を受け止めようとする語りがみられた。それらと関連して、「○○さんから言われた」と語る人が複数おり、家族、友達、職員などの言葉かけが影響を与えていることが分かった。これは、日々の生活の中での肯定的に語り合える人との関係の重要性を示唆している。そのような関係を可能にするA施設は、(1)老いや死にたいする学習以前に日常的な施設内の学習機会が用意されている、(2)相談員による不安を語る機会がある、(3)様々なクラブ活動がある中で、お経クラブという活動を通して亡くなった人を供養する、など、不安や疑問と向き合える取り組みがなされていたことで、共感し確認し合える関係性が築かれていたためと考えられる。先行研究の検索においては、知的障害者の生涯学習の必要性に触れたものはあるが、老年期の生涯学習については報告されていない。A施設の取り組みは施設内の学習として限定されており、意識的に取り組む施設だから可能だといえる。他施設や地域に暮らす知的障害者が老いや死の不安と付き合っていけるようデス・エデュケーションの体系化をさらに検討していく必要性がある。
|
Research Products
(4 results)