2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653070
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
張 貞京 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (50551975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石野 美也子 京都文教短期大学, 幼児教育学科, 講師 (50418597)
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Keywords | 知的障害 / 死 / 老い / 不安 / 施設職員 / デス・エデュケーション / 関係性 / 学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、知的障害者本人の老いや死に対する不安を明らかにし、日常的に求められるサポートとしてデス・エデュケーションの構築を試みるものである。本年度は、知的障害者本人が老いや死について不安を語っているA施設の職員を対象にアンケートと個別インタビューを行った。昨年度のA施設入所者らのインタビュー結果では、共感できる友人関係・個別インタビュー・グループワークが不安解消に役立ち、職員の言葉がけが影響を与えていた。職員へのアンケートは入所者の看取りと死について、個別インタビューは入所者の老いと死について聞き取った。アンケートの回答から、職員が入所者の死を体験した際、悲しみや喪失感、人間の定めへの自覚といった感情を抱いていることが分かった。職員は死別体験をした入所者の喪失感と不安にも気づいており、日常の言葉かけの難しさを実感していた。その中で、声をかける、話を聞くなどと、職員が入所者の不安解消に努めている日常が明らかになった。また、入所者らが身近な人の死を乗り越えるには、(1)周りの友人や職員を含む他者との対話、特に死後をイメージする、または思い出などを話す日常、(2)死別を体験して葬儀や別れの会などといった具体的な段階を経験することで可能になると回答している。施設での看取りは、長年暮らし、友人がいる場所として、看取りを行うことが望ましいと認識しつつも、制度的なバックアップのない現状を課題と挙げた。個別の聞き取りでは、入所者と職員が仕事上の関わりを超えた関係性を形成されていることが分かった。血縁関係のない職員が老いていく入所者の変化に驚き納得できなかったこと、変化に対応するために苦心したことなどを語っている。知的障害者のデス・エデュケーションを構築するためには、日常の細やかな対応ができるよう充分な人的配置が急がれ、制度的な整備が求められる。日常をサポートする職員にとって、知的障害者らの老いや死に対する不安をどのように軽減していくか、専門的なスキルと方法の学習が課題である。
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Research Products
(4 results)