2012 Fiscal Year Annual Research Report
援助専門職による高齢者虐待の予防に資する共感性低下現象(共感的排除)の解明
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22653086
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Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University |
Principal Investigator |
波多野 純 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 教授 (10311953)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 共感性 / 対人援助 / 高齢者虐待 / 介護 / 非人間化 / 組織心理 |
Research Abstract |
最終年度である平成24年度は,前2年間に実施した理論的研究及び仮説生成的研究をもとに,高齢者への共感性が低下するメカニズムの実験的な検討を行った。 介護の場面において,高齢者への共感性が低下する現象は,理論的研究を通じて「共感の不活性化」として概念化された。そして,この介護専門職従事者による共感の不活性化は,介護施設における時間的切迫感などが要因となって高齢者の人間らしさを認知する手がかりが失われ,非人間化が生じると解釈された。そこで,介護場面において人間らしさの認知を低減するような手がかりとして,高齢者の肉体の露出をとりあげ,露出された肉体に注意を向けることで非人間化が促進されるのか,さらに,非人間化が促進されることによって,虐待的行為に対する判断が影響を受けるかを実験的に検討した。 大学生50名(男性25名,女性25名)を対象に,入浴介護を受けている高齢者(男性)の写真を提示し,その写真の高齢者が,高次の認知能力(道徳判断や計画的思考)と比較的低次の心的能力(恐怖や痛みを感じる能力)が,どの程度優れていると思うかを評価させた。さらに,その写真の人物に対して,身体拘束,大声での叱責,排泄の制限といった不適切な介護や虐待的行為を行うことが,どの程度許容されると思うかをたずねた。この時,提示される高齢者の写真は,上半身の肉体が露出しているものと,肉体の大部分がタオル等で覆われているものとを準備した。 実験の結果,肉体が露出している条件では低次の能力が高く,高次の能力が低く評価されていたのに対して,露出が少ない条件ではそれが逆転していた。すなわち,肉体の露出という手がかりによって,高次の能力に対する評価の低減という形で非人間化が促進される可能性が示された。ただし,本実験では虐待的行為への許容度にはちがいがみられなかった。 本実験の結果は日本心理学会第77回大会で報告される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)