2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653087
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
長江 信和 福岡大学, 人文学部, 講師 (80449959)
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Keywords | 臨床心理学 / 社会系心理学 / 社会福祉関係 |
Research Abstract |
経済と文化のグローバル化に伴い,海外で生活する邦人の数が近年,急増している。その一方で,生活環境や文化の違いにより,心の健康の悪化に苦しむ在留邦人もまた,増加しているといわれる。本研究は,従来,我が国の精神保健施策で見過ごされてきた,在留邦人の心の健康づくりに寄与することを目的として,インターネットを介した遠隔心理支援の実用化を目指すものである。 平成23年度は,(1)前年度に行った調査(海外在留邦人の心の健康と受診態度)の追跡調査の準備を行った。不安障害・気分障害等の推定有病率や受診阻害要因を踏まえて,質問項目の新たな選定を行った。 また,(2)海外邦人の主要在留地域における心の相談機関と準拠法令の精査を開始した。在留邦人数上位国(主要在留地域)を対象として,日本語対応可能な心の相談機関と精神保健に関連する法令および倫理指針の精査を進めた。 さらに,(3)海外在留邦人に対する遠隔心理支援の効果研究の準備を進めた。主要在留地域の時差に対応するため,国内外から遠隔心理支援者の候補者(臨床心理士や海外国家資格保持者)を集め,遠隔心理支援に関する研修をはじめた。パイロットスタディとして,Skype(TV電話)を介した支持的カウンセリングによる遠隔支援にも着手した。 在留邦人の心の健康度や受診阻害要因を明らかにし,在留地域における精神保健リソースの明確化とともに,遠隔心理支援による援助策の確立を目指す研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の復興財源の確保を理由として,平成23年度の科研費は2分割の支給となった。第一回目の支給が遅れ,第二回目の支給については減額が示唆されたため,研究計画の円滑な遂行が困難であった。研究支援者の確保や調査の実施に支障を来したため,当初の研究計画の一部を次年度に持ち越す結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費の減額については,今後も懸念されるところである。研究計画のなかでも,比較的,予算が少なく済む研究を優先的に進める。ただし,次年度は,研究総括の年にあたる。研究規模のシミレーションを複数行い,科研費の支払いを受けてすぐに,残りの研究が進められるように準備を進める。
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