2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブログ,ニュース,携帯メールの産出・理解過程における日本語機能の拡張
Project/Area Number |
22653089
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
佐山 公一 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (90271733)
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Keywords | 実験系心理学 / 言語 / 言語理解 / 文理解 / 見出し / オノマトペ / 隠喩 |
Research Abstract |
研究計画に従い,次の三つの実験を行った.(1)見出しの産出・理解における助詞『に』と『へ』の使い分け.(2)新奇な隠喩文の理解の時間経過.(3)清音オノマトペとそれを濁音化したオノマトペの産出・理解における関係とそれらの違い. (1)奈良時代までさかのぼると『に』と『へ』は意味が区別されていた(大野,1978).『に』と『へ』の意味の違いを通常は区別しないが,Webや新聞の見出しのような,物理的に少ない入力から多くの情報を受けとろうとすると『に』と『へ』の使用感の違いが明確に意識される,という仮説を調べた.実験の結果,このことが確認された.現在この結果を論文にまとめ学会誌に投稿準備中である. (2)ブログやホームページに頻出する新奇な隠喩文がどのように理解されるか,その時間経過に関する実験を行った.新奇な隠喩文は文脈なしではランダムな単語の組み合わせと同じように理解されるが,文脈が十分あれば,慣用的な隠喩文と同程度に早く理解されることが分かった.分析の結果は,ニュージーランドで行われた認知言語学の国際シンポジウム"Cognitive Linguistics and Second Language Acquisition"で口頭発表した.結果は,今後,適当な英語の論文誌に投稿する予定でいる. (3)AらAら型のオノマトペの中には,清音+ら行音+清音+ら行音の形をとるものとその清音を濁音化した濁音+ら行音+濁音+ら行音を取るものとがある.実験では,必ず濁音のある清音のオノマトペに限定し,清音+ら行音+清音+ら行音と濁音+ら行音+濁音+ら行音のペアのリストを作った.このペアを考察し,濁音化が,(他のすべての条件が同じなら)否定的なニュアンスを強めることを検証した.その際オノマトペが既存か新奇か,副詞になるか語幹になるか,交換可能か不可能かの三つの条件ごとにリストを分類し,それらの条件の効果も合わせて調べた.
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