2010 Fiscal Year Annual Research Report
高度研究型大学における学術経営のあり方に関する研究 -学術健全度指標開発の試み
Project/Area Number |
22653097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船守 美穂 東京大学, 評価支援室, 特任准教授 (70377141)
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Keywords | 学術経営 / 研究型大学 / アドミニストレーター / 大学執行部 / 評価指標 / インスティテユーショナル・リサーチ / 教員人事 / 教員評価 |
Research Abstract |
高度研究型大学における学術経営のあり方を研究するにあたり、研究初年度では米国研究型大学を中心に、参照されている指標を確認するとともに、大学執行部における学術経営体制や施策について調べた。 米国の高度研究型大学では、U.S.News & World Report'sやTimes, QSなどのメジャーな大学ランキング誌以外に、研究型大学に特化した指標やランキングが開発・参照されている(The Top American Research Universitiesや米国学術研究会議(NRC)が10年ごとに発行する博士プログラム評価など)。論文引用数や名声調査以外に、研究費やボスドクの人数、PhD取得者の雇用先、学部学生の選抜性などが参照されていることが特徴である。これらの指標を向上させるためのヒト・モノ・カネを確保することが、米国研究型大学のアドミニストレーター(大学執行部、研究科長、専攻長)の役割となる。 米国の研究型大学の執行部は、学長(President)とプロヴォスト(Provost)に分かれていることが特徴である。両者はそれぞれMister OutsideとMister Insideとも呼ばれ、学長が大学の外向けの顔であり、プロヴォストは学内行政を担う。寄付金獲得や社会・政府への働きかけが学長の責任である一方、プロヴォストは大学の学術水準が維持・向上することに責任がある。教員人事についてプロヴォストが最終決定権を有していることが日本の研究型大学と特に大きく異なる。学術担当副プロヴォスト(Vice Provost for Academic Affairs)がこのためにおり、全学の全ての教員の昇進やテニュアの付与を管理する。形式上の承認ではなく、人事評価書の全てに目を通し、不適切な人事が行われていないかを監督する。 全般に、単なる形式上の指標や機関の長ではなく、権限と責任を伴った執行部体制が実質的な学術経営を行っている印象を得た。これが研究科・専攻レベルでどのように影響していくか、継続して調べでいく。
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