2010 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習をベースとした領域融合的な実践科学としての「文化工学」の創成
Project/Area Number |
22653098
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧野 篤 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20252207)
|
Keywords | 生涯学習 / まちづくり / 日常性 / 文化 / 地域活性化 / 実践志向 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地方における人的・文化的資源を中心にその地域の特色を生かしたまちづくりを中長期的に支える研究プログラムを、生涯学習をベースとして確立し、その方法論を構築するとともに、新たな研究領域を立ち上げることにある。初年度、本研究では、長野県飯田市、長野県阿智村、愛知県豊田市、千葉県柏市を主たる研究対象として、それぞれのまちづくりの論理を参与観察を通して析出し、そこから実際に研究者と地元住民との協働による介入的な手法を通したまちづくりのプログラムを実施することが目指された。 この過程で、以下の点が明らかとなった。1.これまでのまちづくりの論理では、それがたとえ文化的な側面に注目し、文化資源を活用した地域の活性化を志向していようとも、「活性化」そのものが量的な拡大を志向する経済的な価値の枠組みと結びついており、この枠組みの中で「活性化」を評価しようとする、いわば固定的な性格を強く持ったものであること。2.従来の経済活性化を基調とするまちづくりの論理も文化資源に着目した町づくりの論理も、どちらもが「分配」を基本的なアプローチの枠組みとしていること。3.それ故に、このアプローチによって語られる地域の活性化とは、すでに確立した地域住民の活動(たとえば経済的なまちおこし)であり、多様で動的な地域社会の動きをとらえる事ができなくなっていること。4.問われなければならないのは、「分配」の論理によるまちづくりを乗り越える地域の動的な論理つまり「生成」と「循環」の論理を析出することであり、研究者自身が地域のアクターとともに日常性における文化的側面を重視した実践志向型のまちづくりの論理を構築すること。 第1年度は、上記対象地域において研究者自身が住民とともに実践を進めたが、上記第4の論理を析出するために研究計画の見直しが必要となり、具体的なプログラム構築は第2年度に持ち越された。
|
Research Products
(4 results)