2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本のリベラルエデュケーションの遺産―文化学院の教養教育と西村伊作
Project/Area Number |
22653101
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
平沢 信康 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (70208817)
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Keywords | 教育学 / 思想史 / 社会学 / 政治学 / 日本史 |
Research Abstract |
ユニークかつ卓越したリベラル・エデュケーションを大正後期から敢行した西村伊作の人間形成について、宗教史や政治史の成果を踏まえて詳細に調べ、文化学院の創設に至る(とくに芸術家との)人間関係、知的ネットワークを明らかにできた。わかりやすい家系図も作成した。 また同校創設の背景となった「生活の芸術化」の理念の建築やインテリアデザインの分野における西村の努力に注目し、住宅・教会堂・保育園の設計作品を現地訪問して確認し、生活改善の旗手としての文化史的意義を探るなど、実証的な調査活動をなしえた。アーツ・アンド・クラフツ運動の影響のもと、美を通じての社会改革を志向した西村の模索を確認した。 教育史の観点を主軸としつつ、文化学院女生徒の洋装、阿部知二らモダニズム文学を代表する作家の教授陣への参加、バウハウス展の開催やバウハウス留学者の講師への登用など、モダニズムの観点から研究を進捗させることができ、新教育研究において新基軸が得られた。 文化学院の先駆的かつ前衛的な実践がもたらした政治的コンフリクトを明らかにすると共に、同校所蔵資料に基づき、文化学院で教鞭を執った講師陣のリストを作表した。
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