2010 Fiscal Year Annual Research Report
大学教育効果をめぐる卒業生調査と大規模社会調査の統合的分析に関する研究
Project/Area Number |
22653105
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平澤 和司 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30241285)
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Keywords | 卒業生調査 / 不完全データ / 社会調査 / 大学教育 |
Research Abstract |
1.CiNiiやWebcat Plusで、過去20年間に行われた卒業生調査に関わる論文・図書を検索し、調査票または詳細な調査結果が掲載されている調査について、どのような項目を尋ねているか整理した。その結果、多様な項目を質問していること、教育効果の測定とおもわれる項目でもその尋ね方は分散が大きいこと、しかし年収・現在の職業を尋ねている調査が少なくないこと、などが明らかになった。 2.1.のなかの5大学については、調査担当者ないしはその経緯を知る者に聞き取り調査を行った。その結果、調査の主旨は多様であるものの、大学の教育効果についてはいずれも関心を持っていること、自らの大学の結果と他の大学の結果についての比較には興味があるもののそこまで分析した例は少ないこと、その理由として方法論が確立していないうえにどの大学と比較するのが適切かかならずしも明らかでないこと、他方で、大学一般あるいは自らの大学と同程度の大学との比較には関心が高いこと、が明らかになった。 3.これまで多くの卒業生調査が行われてきたものの、各大学が個別に実施しているだけで、それらを俯瞰した研究がなかったことを勘案すると、本研究はその第一歩としての意義は認められるであろう。こうした現況をふまえて、来年度は、大規模な社会調査における項目ごとの比較をはじめ、両データセットを統合した分析の方法について、不完全データの処理を手本に、できるだけ一般化可能な方法論の提言に向けて、研究を深化される計画である。
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