2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22653109
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤墳 智一 宮崎大学, 教育・学生支援センター, 准教授 (30248637)
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Keywords | 産学連携 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の3点にまとめられる。(1)教育効果という観点から既存の産学連携研究の理論を見直すこと、(2)産学連携の教育効果に関するインディケータを構築すること、(3)インディケータ計測の結果から我が国の産学連携制度の長所と今後の課題を明らかにすること、である。なお、ここで言う産学連携とは、University-Industry Technology Transferの訳語であり、共同研究や技術移転による社会貢献を指す。 本年度は、理論的な検討を中心に研究を進めた。旧来の研究では、産学連携の研究活性化に対する効果を指摘してはいるものの、授業開発や論文指導に与える効果への言及は不十分であった。その一方、教育学の分野では大学教育への弊害が指摘され、産学連携はむしろ危険視されている。産学連携研究の大半がこの両極に集中していることがわかった。そこで、本研究では、立場の異なるこれら2つを統合してより一般的な理論的枠組みを準備することにした。これを今後の分析に適用していく。 産学連携の現状に目を移せば、1998年のTLO法施行から10年以上が経過し、政府からの補助金支給期間を終えた全国のTLO(技術移転機関)は再編を余儀なくされていた。産学連携を研究活動の一部ととらえる過去の評価の枠組みでは、収益が低い場合に事業として高く評価されない。特に財政状況の厳しい小規模校では、教育効果の把握による産学連携の再評価が事業の継続のために必要である。 産学連携の教育効果把握について、一部の研究大学が取り組んでいるが、それはまだ技術移転のエキスパートによる試行の段階である。本年度は、教育効果の類型化と、数値化できる項目のリスト作成に取り組んだ。教育効果は、授業開発、プロジェクトへの参加、キャリア開発、財政支援などの領域に認められた。
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