2010 Fiscal Year Annual Research Report
「気になる」幼児に対する運動発達支援を通した自己コントロール感の形成
Project/Area Number |
22653122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本郷 一夫 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30173652)
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Keywords | 運動調整 / 「気になる」幼児 / 保育所 / 二重課題 / 王冠リレー / タッチゲーム |
Research Abstract |
<研究の目的>2010年度は、「気になる」幼児の運動調整の特徴を明らかにするために、しっかり渡せ「王冠リレー」課題と「タッチゲーム」課題を用いた2つの研究を行い、「気になる」子どもと他児の運動発達の特徴、とりわけ運動協応の特徴を比較した。 <方法と結果>1.しっかり渡せ「王冠リレー」における運動協応の発達に関する研究:頭に「王冠」を載せ、それを落とさないように慎重になおかつ素早く移動するリレーをひとり条件とペア条件の2つの条件で行った。対象は、保育所の4歳児クラスと5歳児クラスの幼児であり、I期(5月~6月)とII期(10月~11月)の2回行われた。その結果、「気になる」子どもは他児に比べて、運動調整が難しいことが分かった。また、それは自分自身の運動だけでなく他児との調整も同時に行うペア条件において一層顕著になるということが明らかになった。 2.タッチゲームによる運動協応の発達に関する研究:相手にタッチされないように特定のゾーンを通過して、反対側にあるマーカーを取るという「タッチゲーム」を行い、その攻撃得点と守備得点を算出した。対象は、保育所の3歳児クラス、4歳児クラス、5歳児クラスの幼児であった。また、年齢間の比較を行うための1回限りの横断的データと5歳児クラスの子どもを年間6回観察した縦断データの両方を取った。その結果、「気になる」子どもは他児に比べて得点が低く、対人的な運動調整を求められる課題に難しさを抱えている傾向があることが明らかになった。また、年齢間の比較を行う上では攻撃得点も守備得点も有効な指標であったが、18名の縦断データを分析したところ、縦断的な変化を追跡するためには、攻撃得点よりも守備得点の方が有効な指標となることが分かった。
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