2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナラティブ(語り)の発達アセスメントと支援プログラム開発
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22653125
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長崎 勤 筑波大学, 人間系, 教授 (80172518)
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Keywords | ナラティブ / 発達アセスメント / パーソナル・ナラティブ / フィクショナル・ストーリー / 3-6歳児 |
Research Abstract |
【研究I】ナラティブのアセスメント方法の開発のための基礎研究の発達過程の分析(23年の継続) 【研究I-1,2】小学校1~6年生健常児60名にパーソナル・ナラティブとフィクショナル・ストーリーを語ってもらい、節間関連性分析と行為間の距離によってナラティブのミクロ、マクロ構造を分析した。その結果、フィクショナル・ストーリーの行為間を関連付けながら話す点においては発達的変化がなかったにも関わらず、1つの行為から多くの関連付けを行う点について4年生と6年生で発達的変化が見られるなどが示された。高機能自閉症児のパーソナル・ナラティブでは、健常児に比べ1つの行為から多くの関連付けを行うことが少ないなどの知見が得られた。 【研究II-1】ナラティブの発達アセスメント・ツールの開発のための基礎研究 小学4年生400人にフィクショナル・ストーリーを語ってもらい4年生内の個人差について分析した。その結果、因果的関連づけにおいてクラス間の差が認められた。多変量解析などによって類型化の分析を進めている。 【研究II-2】ナラティブ発達支援プログラムの開発 【研究I】、【研究II】の発達データから、アセスメントに基づいた、パーソナル・ナラティブとフィクショナル・ストーリーの発達支援プログラムを作成し、一部試行した。 支援プログラム:A:パーソナル・ナラティブの支援系列:1.直近の過去経験:「相撲ゲーム」、「すごろくゲーム」などの後、直近の対戦を振り返る。2.少し前の過去経験:工作や料理の作り方を、見ていなかった大人や友人に説明する。3.過去経験:「見て、聞いて課題(showandtell)」:週末の出来事を大人や友人に、土産や写真などを手がかりにして語ることを楽しむ。B:フィクショナル・ストーリーの支援系列:1.親しんだストーリーの印象的だった部分を断片的に大人に語る。2.ストーリーの筋を時間系列や因果関係によって語る。3.ストーリーの登場人物の心的状熊を織り込んで語る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
健常児の児童1年生~6年生のナラティブの発達研究を縦断的に行うことができただけではなく、4年生の400人のデータを収集することができ、個人差、類型化についての検討が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校4年生400人のデータ分析を進め、ナラティブ発達の個人差、類型化について検討したい。また、高機能自閉症児など、障害児の支援プログラムを事例に適用した研究も一層進めたい。
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Research Products
(8 results)