2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22654014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 道夫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90166736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹広 真一 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (30274426)
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Keywords | ナビエ・ストークス方程式 / コルモゴロフ流 / リヤプノフ解析 / 共変リヤプノフ解析 / 力学系 / 双曲性 |
Research Abstract |
2次元Navier-Stokes方程式の解である2次元トーラス([0,2π]×[0,2π])の上のKolmogorov流を対象として,まずReynolds数をパラメータとするときの分岐ダイヤグラムを乱流化の過程を含めて調べた.単純な強制力として波数2の正弦型強制力を与えた場合について,カオスに至る過程を追跡しカオスが発生するReynolds数を特定した.次にこのReynolds数の前後において従来のリヤプノフ解析を実行して,リヤプノフスペクトルを得た.計算結果は,カオス発生のReynolds数(Re=18.16)において第一リヤプノフ数が正となることに加え,その少し上のReynolds数(Re~23)において第二リヤプノフ数も正となることを示している.このデータに基づいて,Ginelli et al.による共変リヤプノフ解析の方法を用いてリヤプノフベクトルを計算した.従来のリヤプノフ解析がSchmidtの直交化を用いるため本来のリヤプノフベクトルを計算できないのに対し,共変リヤプノフ解析ではリヤプノフベクトルが時間発展する空間が制限されることを利用して本来のリヤプノフベクトルが得られ,その結果,解軌道に沿う安定/不安定多様体の接空間の方向を特定し,特にそれらのなす角度を求めることが可能となる.上のKolmogorov流の共変リヤプノフ解析から,カオス化の直後は解軌道上でこの角度はゼロにはならない(双曲的)が,第二リヤプノフ数が正に転じるReynolds数の付近ではゼロとなるところが現れる(非双曲的)となることを見出した.これはKolmogorov流の双曲/非双曲性がReynolds数依存性をもち,その転移が第二リヤプノフ数の不安定化に関係することを示唆している
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