2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22654015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 彰夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30251359)
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Keywords | 経験確率 / 情報理論 / ランダムネス / ダイバージェンス |
Research Abstract |
本研究の目的は,Vovkらが提唱しているゲーム論的枠組みにおける確率論の定式化を一つの足がかりとして,一般情報源に対するユニバーサル符号化理論の観点から確率空間をアプリオリに仮定しない経験確率の理論を構築することをめざすことにある.また,こうした定式化の試みと並行して,原理的には確率概念とは無縁であるはずの力学的システム(例えば熱/統計力学的システム)が確率的記述を許容することの根源的理由を探究したい. 上記目的に向けての一つの重要なステップは,ユニバーサル符号化と仮説検定の関係を明らかにすることにあると研究代表者は考えている.そこで本年度は,マーティン-レフの意味でのランダムネスの枠組みにおいて,2つの計算可能な確率測度に関して同時にランダムとなる無限列のf-ダイバージェンスによる特徴づけを試みた.その結果,「準対称」なダイバージェンス関数を用いたランダムネス基準の完全な特徴づけに成功した.これは,研究代表者の先行研究結果であるα-ダイバージェンスによる特徴づけを本質的に拡張する結果である.しかしながら,ダイバージェンス関数が「準対称」という仮定を外せるのかどうかについては未解決である.実際,上記結果を導く際の鍵となる補題において,ダイバージェンス関数に対する何らかの条件が必要であることは明らかとなったが,これが「準対称」というクラスに一致するかどうかについては,今のところ解決への糸口が見つかっていないので,今後の研究でこの点を明らかにしたい.
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