2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22654017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 英夫 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50283346)
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Keywords | 波動方程式 / 極限振幅の原理 / 外部問題 |
Research Abstract |
時間に関して振動する外力項を持つ波動方程式に対する初期値問題の解の時間無限大における挙動は,所謂,極限振幅の原理によって特徴付けられる.すなわち,時間について周期的に振動する力を与え続けると,その振動と共鳴する周波数の波だけが生き残り,極限的には時間と空間に関して変数分離された状態が形成される事を主張するものである.本研究の目的は,外力項のない波動方程式に対する外部問題において,時間に関して振動する境界値を与えるときの解の漸近挙動を考察し,この問題における極限振幅の原理に対応するものを定式化する事である.より具体的には,解の極限を陽的に書き下す事が目標となる. 本年度は,この研究目的を達成するために,解の弱極限を具体的に計算することを目指してきた。ポテンシャル項と時間周期的な外力項のついた波動方程式に対する初期値問題に関する極限振幅の原理はKubota & Shirota (J. Fac. Sci. Hokkaido Univ. 1967)で扱われており,そこでは対応するポワソン方程式のレゾナンスと呼ばれる特殊解を用いて弱極限が計算されている.従って,我々の問題においてもこの論法が有効であると考えられ,ポワソン方程式の代わりに適当な条件を満たすヘルムホルツ方程式を考えれば良いことを明らかにした.更に,この問題がレゾナンスを持つことを仮定すると,解の極限の予想することができ,波動方程式の外部問題における極限振幅の原理の定式化に成功した.加えて,障害物が球であり,波動方程式の解が球対称な場合には,ヘルムホルツ方程式に対する境界値問題が実際に,レゾナンスを持つことを導いている.
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Research Products
(3 results)