2010 Fiscal Year Annual Research Report
螺旋状に伝搬する光と物質のかかわり合いーフォトンの軌道角運動量を介した相関の発現
Project/Area Number |
22654033
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荒岡 史人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10467029)
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Keywords | 有機材料光物性 / 光学活性 / 光計測 |
Research Abstract |
本研究はラゲールガウシアン光(LG光)と呼ばれる、等位相面が螺旋状に捻れながら伝搬する光波と、物質の掌性(キラリティ)の間の新たな相互作用の有無を実験的に探索し、その可能性を検討することを目的とする。この目的のため、LG光の持つ螺旋状の等位相面と同程度の空間的サイズを持つ巨視的キラル構造体が測定対象となる。本年度(平成22年度)は、こうした巨視的キラル構造体として、アキラルな屈曲形分子のヘリカルナノフィラメント試料を作製し、通常の光学測定である可視-紫外吸収を行った。この結果、紫外の吸収ピークがヘリカルナノフィラメントの形成とともに短波長側ヘシフトすることが明らかとなった。簡単な構造モデリングおよび分子軌道計算により、ヘリカルナノフィラメントの形成に伴う分子の会合効果によるものであると結論づけた。ヘリカル構造に起因する円二色性(CD)の信号もこの領域に現れることから、ヘリカルナノフィラメントにおける光学活性が分子そのものというよりも、巨視的キラル構造によっていることは明らかである。従って、本系が本研究の測定対象として適していることを示している。 また、空間位相変調器によって動的にLG光を発生させる光学応答測定システムの構築を行った。これによる測定結果はまだ得られていないが、次年度(平成23年度)は上記ヘリカルナノフィラメントを測定対象とし、本システムを用いた測定を進める予定である。
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