2011 Fiscal Year Annual Research Report
低次元・強相関電子系における非線形光応答の広帯域シングルショット実時間計測
Project/Area Number |
22654034
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 淳 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (60202165)
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Keywords | フェムト秒 / イメージング / エシェロン / シングルショット / 光誘起相転移 / 光化学反応 |
Research Abstract |
本研究では、ミクロンオーダーの精密なステップ構造を持つ反射型土シェロン(階段状)光学ミラーを加工・作製し、それを用いてプローブ白色光に空間的な時間差を付け、高時間分解、スポット集光、広帯域、シングルショット検出すべてを満たすフェムト秒広帯域シングルショット実時間イメージング分光法を構築することを目指している。また、高強度励起パルスにより、低次元電子系・強相関電子系に非線形かつ非調和な所望の格子振動を誘起し、それに伴う多彩な高密度光誘起現象の時間・周波数特性を広帯域かつ1ショットで実時間計測することを行う。 本年は、広帯域化を実現するために段差20μm、段幅80μm、全段500段の反射型エシェロンを新たに作製し、自己位相変調により発生させたフェムト秒白色光をプローブ光として用いることにより、広帯域シングルショット実時間ポンプ・プローブイメージング分光法を立ち上げた。これを用いて光合成において重要な役割を果たすカロテノイドの超高速内部転換のイメージング計測を行い、~20ピコ秒の時間範囲、420~630nmの広帯域の波長範囲の過渡吸収変化を捉えることに成功した。一方、強誘電体フォノンポラリトン伝播のイメージング計測においては、偏光ゲート法を用いることにより、光パルスの位相やスペクトル特性を評価するFROG (Frequency-ResolvedOpticalGating)計測と全く同じ光学系を用いて測定できることを示すことができた。これらの結果は、これまでの分光技術に比して、構築した分光技術が不可逆光反応の動的過程の解明及びコヒーレント制御の研究に有用であることを示している。'
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