2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアを用いた新しい超低温生成法の開発とヘリウム準粒子スピントロニクスの開拓
Project/Area Number |
22654041
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 謙介 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (60334314)
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Keywords | 低温物性 / 物性実験 / スピントロニクス / ヘリウム34混合液 / ナノポア |
Research Abstract |
本研究は、「ナノボア(ナノスケール細孔)」を利用して、絶対温度0.1Kから1mK以下に至る極超低温を連続的に生成できる新しい方法を開発し、科学技術の発展に資することと、電荷を持たないヘリウム3を用いて、新しい「準粒子スピントロニクス」を開拓することを目的とする。具体的な研究目標として、(1)ヘリウム3-4混合液体中のヘリウム3準粒子を細孔径10nm以下のナノボアアレイを通して選択的に「蒸発冷却」する技術を確立すること、(2)磁場を印加することでナノボア中準粒子の離散的準位をゼーマン効果で制御することを目指す。 本年度は前年度に引き続き、準粒子のエネルギー離散化を実現するための、ポーラスアルミナの細孔径の狭窄化を試み、さらに作成したポーラスアルミナ試料中4Heの超流動特性を実験的に調べた。直径40nmのまっすぐな細孔を持つポーラスアルミナの表面に、スパッタリングにより金を堆積させ細孔を部分的に塞いだ試料を、作成条件を変えて多数準備した。これらの細孔中4Heの超流動特性を、振動ワイヤー法で測定した。超流動転移温度が最大5mK程度低下することを確認し、細孔直径を10nmまで小さくすることに成功した。しかし、多数の試料の特性が一定しないことから、スパッタリングでは細孔直径の精密制御は困難であると結論し、加熱蒸着による細孔狭窄化を行うことにした。現在までこの方法で、室温のテストでは良好な特性を持つ試料を得ている。今後低温での超流動特性測定に進む予定である。結果として混合液を用いた実験には進めなかったが、直径5nm程度のナノボアアレイの作成手法を確立できる見通しが立ったので、今後研究が大きく進展すると考えている。また、細孔中にカーボンをコートして細孔径制御を行う試みも同様に進め、やはり10nm程度まで細孔が狭窄化したことを示す結果(超流動転移温度の低下)を得た。
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Research Products
(10 results)