2011 Fiscal Year Annual Research Report
力学モデルによるスポーツ動作の原理解明とその物理教育への活用
Project/Area Number |
22654043
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂井 伸之 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (00267402)
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Keywords | スポーツ動作 / 力学モデル / 物理教育 / 剛体力学 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
スポーツは一般に同じ指導を受けて練習しても上達する人としない人にはっきり分かれるが、その主な要因は、方法論に科学的根拠が乏しく、経験的・感覚的な言葉で説明されることにあると考えられる。本研究では、力学モデルによってスポーツ動作の基本原理を解明し、そのコツを客観的・科学的な言葉で説明することを目指す。また、既存のトレーニング方法について、物理学的観点からその意味や合理性を明らかにする。その成果は、主に非熟練者がスポーツを実践する上で役立つことが期待される。更に、スポーツ動作を通じて多くの人々が物理に関心を持ってもらうために、スポーツ動作を大学や高校の物理教育における題材として活用する方法を検討・実践する。 本年度は前年度の3項目 (1)スポーツ動作の力学モデルの構築と検証。(2)力学的考察に基づくトレーニング方法の検証。 (3)物理教育における指導方法の開発と実践。 に加え、(4)実践指導における(1)(2)の活用と検証 に取り組んだ。 具体的には、新潟県立長岡高校野球部管勝監督の協力の下に、同部の練習において(1)(2)に基づく実践指導を行った。その成果を数値的に検証することは難しいが、多くの部員の投球・打撃動作に進歩が見られた。更に、剣道の専門家である山形大学地域教育文化学部スポーツ文化コース竹田隆一教授の協力により、力学モデルと実践感覚に基づく最適な面打ち動作の研究が進められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的はスポーツ動作の「原理解明」と「物理教育への活用」であり、3年間の本研究期間後にスポーツ実践への活用に取り組むつもりであった。しかし、既に得られた成果についてスポーツの専門家から関心を寄せられ、野球及び剣道の専門家の協力によって、物理学と実践に基づく「スポーツ指導方法の研究」が本格的に始まった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、スポーツの専門家との連携により、物理学と実践に基づくスポーツ指導方法の研究が既に始められた。この方向性で研究が進めば、経験と感覚に基づくスポーツ指導に大きな変革をもたらすこと、そして物理学の有用性を広く理解してもらえるようになることが期待される。従って、次年度は良い意味で計画を一部修正し、これまで得られた理論をスポーツ実践指導に活用し、理論の検証と具体的な練習方法の開発に重点を置きたい。
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