2012 Fiscal Year Annual Research Report
力学モデルによるスポーツ動作の原理解明とその物理教育への活用
Project/Area Number |
22654043
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂井 伸之 山口大学, 理工学研究科, 教授 (00267402)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | スポーツ動作 / 力学モデル / 物理教育 / 剛体力学 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
従来のスポーツ指導論にはその真の意味や科学的根拠が明確でないものが多い。また、スポーツバイオメカニクス研究では現象や実験結果の本質を力学モデルで説明する理論的考察が殆どない。そこで本研究では、力学モデルによってスポーツ動作の基本原理を解明し、その結果を物理教育やスポーツ指導に活用することを試みた。 本年度の研究成果は次の3つにまとめられる。 1. 投動作の基本メカニズムの解明。投動作や打動作では体の末端部の効率的加速が重要であるが、その加速過程は「運動連鎖」や「むち動作」等の抽象的な言葉で説明されるだけで、物理的には理解されていなかった。本研究では、力学的筋肉の復元力をゴムでモデル化した剛体連結モデルとその運動方程式によって、そのメカニズムを説明することに成功した。鍵となるのは、剛体に働く慣性力と筋肉の復元力がの複合作用である。 2. 剣道の面打ち足さばきの原理解明。スポーツの中でも特に剣道は、指導者でさえ理解が難しい指導論が多く、物理学に立脚した指導論が求められている。剣道専門家の竹田隆一氏(山形大学教授)と連携し、力学モデルに基づいた仮説を立て、竹田氏が実戦と学生指導で検証し、仮説を修正するという方法で、物理学に基づく指導論を構築した。 3. 剛体連結系の運動方程式に関する誤解とその原因。バイオメカニクス実験では、人体を剛体連結系で近似し、動作実験データから関節に働く力や力のモーメントを計算される。この時使われる運動方程式の妥当性に疑問を持ち、ニュートン力学に基づく理論的考察を行った。その結果、従来使われている運動方程式には誤解があり、2つの関節をまたぐ二関節筋のある系、すなわち実際の腕や脚の運動には適用できないことを示した。また、運動方程式に対する誤解の原因を突き詰めるとベクトルの概念に対する誤解に帰着されるため、物理教育において対応すべき問題でもある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)