2011 Fiscal Year Annual Research Report
揺らぐ環境にある生体分子における機能発現機構の「頑健性」の解明
Project/Area Number |
22654047
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
戸田 幹人 奈良女子大学, 理学部, 准教授 (70197896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福水 健次 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (60311362)
高見 利也 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (10270472)
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Keywords | 時系列解析 / カーネル法 / 生体分子 / 機能発現 / 天然変性タンパク質 / 動力学 / 不変多様体 / 大自由度カオス |
Research Abstract |
(1)階層的集団運動を抽出するデータマイニングの展開と有効性の検証 ウエーブレットによりゆっくりした振動成分を抽出し、このように抽出された集団運動に対して、その動的な挙動の解析に向けて、カーネル相関解析・特異値分解により、集団運動の動力学を抽出する「データマイニング」の方法を展開した。またランダム行列の特異値分布の厳密な解析理論を展開し、量子カオス系の時系列データに応用し、その有効性を検証した。 (2)階層的集団運動の時系列データに対する統計的相関・因果推論 大自由度の「ランダム力学系」による時系列データから、「頑健」な機能発現を可能とする動力学的相関・因果関係を抽出するため、統計科学の新たな展開、特にカーネル最適化の方法である半正定値行列計画法の応用を探求した。特にカーネル主成分解析に実際に有効であることを確かめつつある。 (3)大自由度力学系の相空間構造・不変集合による階層的集団運動の解析 不変集合と、それらに対し漸近的に接近・離反する「安定・不安定集合」、これら「不変集合」相互間のつながり等、階層的な集団運動の動力学的メカニズムを、法双曲的不変多様体の崩壊に基いて理解する方法を展開した。その方法を、電場と磁場の下にある水素原子のイオン化のモデルに応用し、その有効性を検証した。古典力学での解析に加えて、量子系の解析も検討しつつある。 (4)具体的な生体分子の分子動力学計算への応用 ダイアラニン、シニョリン、ミオグロビン、SNaseなどのポリペプチドやタンパク質の分子動力学計算による時系列データに対して、上記の解析方法を応用しつつある。また生体分子に限らず、炭素クラスターの強レーザー場中の挙動の解析など、様々な化学反応系に時系列解析を応用し、基礎科学・応用科学としての広がりを示しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の鍵となるのは、ウエーブレット変換に依る集団運動の抽出とその変遷の解析である。種々の生体分子の時系列に対して、この方法の有効性を確認しつつあり、当初の予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の進展の鍵となるのは、カーネル法による非線形統計解析である。カーネル法は極めて一般的な枠組みであるが、具体的な応用における指針の面で不十分なところがある。この点における打開策として期待できるのが、近年になって提唱されている半正定値行列計画法の応用である。この方法に依るカーネル主成分解析は順調な結果を出しており、この方向を今後追求する。
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[Journal Article] Nanosecond simulations of the dynamics of C60 excited by intense near-IR laser pulses : Impulsive Raman excitation, rearr angement, and fragmentation2012
Author(s)
N.Niitsu, M.Kikuchi, H.Ikeda, K.Yamazaki, M.Kanno, H.Kono, K.Mitsuke, M.Toda, K.Nakai
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Journal Title
J.Chem.Phys.
Volume: 136
Pages: 164304(12)
DOI
Peer Reviewed
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