2010 Fiscal Year Annual Research Report
オンファス輝石地質速度計の実用化:ナノスケール微細組織解析による時間情報の抽出
Project/Area Number |
22654058
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻森 樹 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (00436833)
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Keywords | オンファス輝石 / ひすい輝石 / 微細構造 / 組成累帯構造 / ざくろ石 / エクロジャイト / 地質速度計 |
Research Abstract |
本研究は,ざくろ石に包有されたオンファス輝石質単斜輝石に着目し,結晶内の秩序-無秩序転移によって生じたナノスケール微細組繊(特に反位相領域のサイズ)について,電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)と電界放出型透過電子顕微鏡(FE-TEM)を用いて解析する.低温高圧変成岩中の変形を免れたオンファス輝石の反位相領域のサイズとその多様性の規則性を温度・時間の指標として捉えながら,先進的なナノスケール加工・組織解析装置(FIB/FE-SEM,FE-TEM)を用いてカタログ化し,複数の閉止温度が具なる放射性同位体年代測定を相補的に加えることによって,秩序-無秩序転移カイネティクスを利用したオンファス輝石地質速度計を実用化する。 研究初年度は,オンファス輝石地質速度計の実用化に向けて,ナノスケール微細組繊観察のための天然試料の厳選と試料の地質学・岩石学的特徴付けを行った.そして,研究対象とした岩石試料(グアテマラモタグア断層帯,ローソン石エクロジャイト)から昇温時の組成累帯構造を保持した自形ざくろ石結晶を分離し,その結晶形態・サイズ,結晶表面の観察を行った後,結晶中心を切る断面についての薄片を製作した.ざくろ石結晶の薄片については,光学鉱物顕微鏡,電界放出型走査型電子顕微鏡,電子線プローブ微小領域分析装置,二次イオン質量分析装置によって,組成累帯構造・組成累帯プロファイルを解析した.さらに,昇温時の組成累帯構造を保持した自形ざくろ石結晶中に変形を免れて包有されたオンファス輝石とひすい輝石について,電界放出型走査型電子顕微鏡を用いた解像度の反射電子像観察と元素マッピングを行い,ナノスケール微細組繊(離溶組織など)についての記載を行った.これらの取り組みによって,オンファス輝石地質速度計の実用化に向けての基礎データが整いつつある.
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Research Products
(2 results)