2010 Fiscal Year Annual Research Report
深海サンゴ骨格に刻まれる1日‐半世紀におよぶ海洋表層環境の復元‐
Project/Area Number |
22654062
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
江崎 洋一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60221115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 英治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70172749)
渡邉 剛 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (80396283)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70347483)
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Keywords | サンゴ / 成長線 / 環境 / 時計遺伝子 / 結晶構造 / リズム |
Research Abstract |
1. 非造礁性単体六射サンゴであるFlabellum(Flabellum)magnilicum, F.(Ulocyathus)deludens, F.(U.)japanicumを用いた長期飼育実験によって,水深300mで生息していたこれらのサンゴは,明暗の外的光条件の変化に呼応し,軟体部であるポリプを膨張・収縮させている.これら非造礁性サンゴの軟体部に,光受容体が存在していることが判明した. 2. Flabellum(Flabellum)magnificumの骨格の外表面と骨格内部に細かな成長線が観察される.電子顕微鏡を用いた構造解析の結果,骨格はアラゴナイトから構成され,「粒状組織」と「繊維状組織」の重複的な繰り返しによって形成されている. 3. また,明瞭な成長線と「Sr/Ca比の急激な減少ポイント」が一致し,そのポイントは「Ba/Ca比の減少ポイント」とも一致する.このことから,とくに顕著な成長線の形成には,貧栄養で暖流の黒潮の流入に起因する環境変動が強く関与していることが示唆される.「Mn/Ca比の上昇ポイント」は,海底での火山活動を記録している可能性が高い.このように,中・深層域に生息する非造礁性サンゴ骨格中に含まれている元素量は,そのサンゴが生息していた時期の海洋(表層から深層)の環境変動を顕著に反映していることが,微細構造の観察や地球化学的なアプローチから示唆される. 4. 今後,当該の非造礁性サンゴ種から,PCR法を用いて,ITS領域,「概日時計遺伝子」である「period」や「cryptochrome」をクローニングする予定である.
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Research Products
(6 results)