2011 Fiscal Year Annual Research Report
難生成生体有機分子の合成を目指した高温高圧鉱物有機物反応実験
Project/Area Number |
22654063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60250669)
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Keywords | リボース / 生命起源 / アミノ酸 / 核酸 / 初期地球 / ホルモース反応 |
Research Abstract |
初期地球における生命起源の問題において(1)いかにアミノ酸を用意しタンパク質にしてゆくか、と(2)いかに核酸(RNA)を作り出すかが重要な鍵を持っている。多くの生命起源研究は(1)の問題にフォーカスされてきた。しかし(2)の問題に関しては、化学的工業的観点から幾つかの試みがあるのみで、地球科学に根ざした研究成功例は皆無と言って良い。そこで、本研究課題では、「鉱物との反応を生かし、海底下を想定し(a)核酸を構成する糖(リボース)や(b)リボースと核酸塩基とリン酸が重合したヌクレオチド(RNA最小単位)生成を行う」ことを目的とする。目的達成に際して、特に研究代表者が従来から取り組んできたオートクレープを用いた高温高圧実験を適用する。23年度はホウ酸を用いてホルムアルデヒドからリボースが形成されるプロセスを具体的に検討した。リボース生成はホルモース反応を介して行われる。まずホルモース反応の生成物や中間物質に対する液体クロマトグラフ質量分析計を用いた分析手法は昨年度確立されたので、この手法で生成物の分析を試みた。まず、ホルモース反応において糖生成に成功した。ここで生成される糖はホウ酸存在下とそうでない場合で顕著な違いが見いだされた。特にリボース/ホウ酸錯体の安定性が格段に増し、今まで長時間保持できないとされたリボースが選択的に安定になる事が世界に先駆けて示せた。これはなぜRNAがリボースを含むのかという根本的な問題の解を与える物である。成果の一部は地球惑星連合大会国際セッション招待講演などで発表してきている。
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Research Products
(12 results)