2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
並河 英紀 北海道大学, 大学理学研究院, 助教 (30372262)
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Keywords | 化学振動 / 非線形化学反応 / 金属ナノ粒子 / スマートポリマー / pH応答性 / 自律振動 / 非平衡開放系 / プラズモン共鳴 |
Research Abstract |
自律的リズム現象である非平衡開放系(散逸系)化学振動は、その本質の理解を目指した研究が推し進められている。一方、化学振動を他の物性振動に変換し自律的物性振動を発現させる材料の開発も近年行われている。しかしながら、これは高分子ゲルの膨潤収縮(機械的)振動への変換系に限定されており、化学振動を物性振動へ変換する積極的アプローチの提唱は世界的にも非常に希薄である。この問題に対し、平成22年度の本申請研究では、化学振動を各種物性振動へ変換するモデル系としてpH応答性高分子修飾ナノ粒子を用いた実験を行い、pH応答性高分子修飾ナノ粒子のpH振動水溶液内における分散状態と凝集状態の振動を発現させた。これにより誘起される光学的・熱的・磁気的振動を実験より求め、トリガーとなったpH応答性高分子の化学振動との同期性および振幅を評価し、化学振動が物性振動に変換されるプロセスの物理化学的支配因子の明確化ならびに速度論的理解を進めた。本実験のモデル系として、化学振動を誘起する部位を表面に修飾したナノ粒子を合成し、化学振動部位を表面に露出した状態で固定化された複合ナノ粒子を得た。作成したpH応答性高分子修飾ナノ粒子においては、親水性状態ではpH応答性高分子修飾ナノ粒子は水溶液内に分散し、疎水性状態では凝集体を形成するという分散状態一凝集状態振動が誘起された。pH応答性高分子修飾ナノ粒子の凝集状態は、局在プラズモン共鳴波長のシフトより評価され、その経時変化からpH振動の反応ダイナミクスとの比較検討を行い、pH応答性高分子修飾ナノ粒子がpH振動反応に対して触媒的作用を及ぼすことも明らかとなった。
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