2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
並河 英紀 山形大学, 理学部, 准教授 (30372262)
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Keywords | 化学振動 / 自律振動 / 振動変換 / ナノ粒子 / 伝播 |
Research Abstract |
自律的リズム現象である非平衡開放系(散逸系)化学振動は、その本質の理解を目指した研究が推し進められている。一方、化学振動を他の物性振動に変換し自律的物性振動を発現させる材料の開発も近年行われている。しかしながら、これは高分子ゲルの膨潤収縮(機械的)振動への変換系に限定されており、化学振動を物性振動へ変換する積極的アプローチの提唱は世界的にも非常に希薄である。申請者はこれまで、材料のサイズ・凝集状態・組成等により機械的・光学的・磁気的特性のスイッチ現象を示してきた。これら従来のスイッチング材料は光や電気など外部インプットに依存した他律性スイッチが主であるが、これら化学振動をスイッチングトリガーとして導入することで、外部インプットが不要な自律的物性振動スイッチング材料の創出が可能となる。本研究では、その先駆け的研究として、本概念の確立ならびに普遍性の提示、さらには各階層的振動変換を行うことで、外部インプットが不要な自律物性スイッチングシステムを提案することに成功した。具体的には、pH被覆Auナノ粒子をpH振動媒体中へ導入することで、溶液内pHの時間的振動に呼応し、溶液内のAuナノ粒子が分散状態を会合状態間にてスイッチングすることを表面プラズモン共鳴吸収特性のin-situ計測より明確化した。また、より詳細なダイナミクス解析の結果、会合過程はpH変化に対して敏感に応答するのに対し、凝集過程においてはpH変化に対する時間的遅延が発生し、また、中程度のpH領域においては、その履歴により会合状態と分散状態のいづれの状態も取りうる双安定状態となることも明らかとなった。
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