2010 Fiscal Year Annual Research Report
界面選択的超高速二次元分光の開発と水の界面構造の解明
Project/Area Number |
22655009
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田原 太平 独立行政法人理化学研究所, 田原分子分光研究室, 主任研究員 (60217164)
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Keywords | 非線形分光 / 時間分解分光 / 振動分光 / 界面 / 水 / 超高速ダイナミクス |
Research Abstract |
界面選択的超高速二次元分光の開発のため、独自に開発したマルチプレックス・ヘテロダイン検出振動和周波(HD-VSFG)分光法の時間分解測定への拡張を行った。通常のVSFG分光法では、赤外光(振動数ω_<IR>)と可視光(振動数ω_<VIS>)を界面に同時に照射し、界面から発する和周波信号(振動数ω_<IR>+ω_<VIS>)を検出する。この和周波信号は、赤外光が界面分子の振動準位に共鳴すると強度が増大するので、これを利用して界面選択的な振動スペクトルを測定できる。われわれが開発したHD-VSFG分光法ではさらに、発生する和周波信号と別に発生させた参照光を位相関係を確定して混合することによってヘテロダイン検出を実現し、二次非線形感受率の自乗(|χ^<(2)>|)ではなく、二次の非線形感受率そのもの(χ^<(2)>)の実部と虚部スペクトルの測定を実現する。具体的には、試料とLO光発生のためのGaAsをタンデムに配置し、これらに広帯域の赤外光数ω_<IR>と狭帯域の可視光ω_<VIS>を照射することによって両者から和周波信号を同軸上に発生させ、それを分光器に導入、干渉させてこれをマルチチャンネル検出器で一度にスペクトル測定する。このHD-VSFG測定を時間分解測定へ拡張するため、光パラメトリック発振器から得られた赤外光を2つに分け、その一つを界面分子の振動励起のためのポンプ光ω_<pump>とした。(他方はHD-VSFG測定のためのω_<IR>として使用。)このとき、界面分子の振動遷移を選択的に励起するため、干渉フィルターを使ってω_<pump>光を狭帯域化し、サブピコ秒パルスとした。このω_<pump>光照射ののち適当な遅延時間ののちにHD-VSFG測定を行い、界面分子の振動緩和ダイナミクスをχ^<(2)>スペクトルの時間変化として追跡した。この方法を界面活性剤/水界面に適用し、世界で初めて時間分解振動χ^<(2)>スペクトル測定に成功した。
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