2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジフルオロカルベン錯体を利用する有機フッ素化合物の触媒的合成
Project/Area Number |
22655010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渕辺 耕平 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10348493)
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Keywords | ジフルオロカルベン錯体 / カルベン / フッ素 / 触媒 / ナザロフ環化 / ペンテノン / シクロプロパン / 白金 |
Research Abstract |
テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)錯体存在下、ジエノールシリルエーテル(2-シロキシ-1,3-ブタジエン)に2,2-ジフルオロ-2-フルオロスルホニル酢酸トリメチルシリル(TFDA)を作用させ、ビニル=1-フルオロビニル=ケトンを触媒的に収率良く合成した。系中では、本研究課題でその調製を目的の一つとしている遷移金属(この場合白金)ジフルオロカルベン錯体が生成しており、これによりジエノールシリルエーテルがジフルオロシクロプロパン化されているものと考えられる。これまで、遷移金属ジフルオロカルベン錯体を系中で調製し、これを触媒的合成反応に活用した例はなかった。生成したシロキシ置換ビニルジフルオロシクロプロパン中間体が、続いて開環-脱離を起こし、一挙にビニル=1-フルオロビニル=ケトンが得られたと理解できる。 我々はすでに、ビニル=1-フルオロビニル=ケトンにトリメチルシリルテトラキス(トリフリルオキシ)ボラートを作用させることで、位置選択的ナザロフ環化が進行することを明らかとしている。これにより、医農薬合成のための有用中間体である2-フルオロ-2-ペンテノンが収率良く得られた。我々が開発した触媒的なビニル=1-フルオロビニル=ケトン合成法をこのナザロフ環化と組み合わせて利用することで、様々な含フッ素生理活性化合物の効率的合成が可能となる。
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Research Products
(30 results)