2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規刺激応答型高性能二光子吸収素子の設計・合成・物性研究と機能開拓
Project/Area Number |
22655015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲永 純二 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50091244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼束 聡明 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (60403937)
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Keywords | 二光子吸収 / 有機非線形光学材料 / バイオイメージング / 蛍光発光 |
Research Abstract |
近年,有機EL素子や有機非線形光学材料などの機能性有機材料の研究開発が積極的に進められている。特に高度なπ電子共役系を持つ有機化合物は,高速応答性や特徴的な非線形光学特性を持ち,さらに構造変換に対する柔軟性・多様性から非常に興味が持たれている。このπ電子共役系にヘテロ芳香族化合物を組み込むことで,蛍光特性やソルバトクロミズムといった物性や,外的因子との相互作用部位として新たな機能性を発現させることができる。本研究ではこうしたコンセプトに基づき,3級アミンの4級化によりπ電子共役系が交差共役型に拡張可能となる新規刺激応答型分子を設計・合成し,化学的構造が物性に与える影響について評価を行った。 ピリジン誘導体はいずれも大きなストークスシフト(~100nm)を示すとともに高い蛍光量子収率を示した。カルバゾール部位に電子供与基を導入すると長波長シフトすることが観測され,ピリジン環の置換様式についても,4位にアリールエチニル基を導入することで同様の結果が得られた。また,ピリジン部位をN-メチル化することにより大きな深色シフトおよび蛍光の消光が観測されたoピリジン誘導体のX線結晶構造解析の結果,分子間π-π相互作用は見られず,分子間でのエネルギー移動が起こりにくくなっていることが分かった。事実この化合物は固体状態でも蛍光発光を示した。そこで生体内でのバイオイメージング剤としての活用を目指し,各種含水溶媒中での蛍光特性について検討を行った結果,有機溶媒中における水の比率が上がるにつれて蛍光極大波長の深色シフ・トが観測され,水と混和するエーテル系の溶媒を用いたとき,高含水条件下でコロイド状の溶液を与えることがわかった。またこの溶液は,蛍光強度は低下したものの蛍光発光を示し優れたバイオイメージング剤となり得ることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた設計分子の合成に成功し,新物質の物性に関しても新しい知見が得られた。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,合成した分子について,二光子吸収断面積の測定,ならびに光線力学療法としての評価を,この分野で実績のある学内および学外の研究者と共同研究を行うことにょり,研究の効率を上げる予定である。
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Research Products
(4 results)