2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 良雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
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Keywords | 環境技術 / 有害化学物質 / ビタミンB12 / メチル化反応 / ヒ素 / 触媒反応 / 金属錯体 / コバルト-メチル結合 |
Research Abstract |
ヒ素化合物の急性毒性値は、化学構造および酸化状態に依存する。高酸化状態(As^<5+>)のヒ素は、低酸化状態(As^<3+>)よりも急性毒性は低いが有毒である。一方、有機ヒ素は無機ヒ素よりも毒性は遙かに低い。無機ヒ素をトリメチル化して更にアルセノベタインに変換することにより、毒性は1/300になる。以前の研究で、メチル化ビタミンB_<12>によりヒ素のメチル化反応が進行することを見出している。本研究では、ビタミンB_<12>酵素の化学をもとに、ビタミンB_<12>誘導体や種々の単純モデル金属錯体を合成し、メチル化の反応機構と触媒反応への展開を検討した。 1)ビタミンB_<12>誘導体および単純なモデル錯体の合成と還元活性化法の検討 天然のビタミンB_<12>を化学修飾して安定なB_<12>モデル錯体を合成した。また、イミン/オキシム型のモノアニオン配位子を有する単純なB_<12>モデル錯体を合成した。次に、これらのコバルト錯体を電気化学的手法または亜鉛粉末を用いて還元しCo(I)種に変換し、トシル化メチルまたはヨウ化メチルとの反応により相当するメチル錯体を合成することに成功した。また、チオール類へのメチル化反応が触媒的に進行する条件を見出した。 2)ビタミンB_<12>モデル錯体とチオール類の反応 メチル化ビタミンB_<12>によるヒ素のメチル化反応は、グルタチオンの存在下で進行する。そこで、反応機構解明の一端として、B_<12>モデル錯体の中心コバルトへのチオール類の配位挙動を検討した。チオフェノール系のチオールの結合挙動を検討したところ、B_<12>モデル錯体の軸配位子に影響されることが明らかになった。また、コバルト-硫黄結合は光および熱により開裂することを見出した。
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