Research Abstract |
本研究では,今まで顧みられなかった顕微鏡の非結像光の光学特性を測定することによって,液液界面に存在する単一分子(または会合体)の方向,回転ダイナミクス,配向性とそのダイナミクスの情報をin situで得ることが目的である。その計測によって,単一分子(または会合体)の大きさや形状と回転拡散ダイナミクスの関係やそれに及ぼす液液界面の粘性率,界面活性剤の影響を明らかにしたい。 当該年度は,非結像光を用いた計測を行う前に,本実験系に適した試料の探索を行った。金属金の表面は選択的に-SH基と化学結合することが知られ,ホルモンの簡易検出等に用いられている。また金の薄膜や金コロイドは,界面において特殊な光学特性を示すため,それが様々な分光法に応用されている。そこで,大きさ4-20nmである市販の金コロイドを用いて液液界面への吸着を検討した。このような極微な金コロイドのそれぞれ一つずつのダイナミクスを測定するため,全内部反射レーザー散乱顕微法を採用し,高感度CCDカメラで検出した。その結果,本来界面活性を示さない金コロイドであっても液液界面に吸着すること,またそこで会合することを見出した。数多くの金コロイドを測定したが,その中で二つの金コロイドが会合した∞のような形のものが確認されたので,その回転ダイナミクスをCCDカメラでさらに詳細に追跡した。その結果,この会合体は,界面の面内方向だけでなく面外方向にも回転していることが見出された。今後はこのような会合した微粒子の回転拡散ダイナミクスについて,非結像光を用いた計測を行う予定である。
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