Research Abstract |
本研究では,今まで顧みられなかった顕微鏡の非結像光の光学特性を測定することによって液液界面に存在する単一分子(または会合体)の方向,回転ダイナミクス,配向性とそのダイナミクスの情報をin situで得ることが目的である。その計測によって,単一分子(または会合体)の大きさや形状と回転拡散ダイナミクスの関係やそれに及ぼす液液界面の粘性率,界面活性剤の影響を明らかにしたい。 当該年度は,非結像光を用いた計測を行う前に,昨年度,試料として決定した金コロイドの動的挙動の測定を行った。まず,大きさ20-200nmである市販の金コロイドの1つ1つを認識して,それらのブラウン運動を捉えられるかについて検討を行った。断面が1×1mmの大きさの極細な容器を用いたところ,溶液の粘性によって,中の金コロイド水溶液の対流を留めることができた。ところで,金コロイドは,大きさに応じて,特定の波長の光を強く散乱する性質を有する。そこで,先ほどの極細な容器に対して,直角に白色光を集光して照射し,直角方向から顕微鏡を用いて,散乱光による単一金コロイドの測定を試みた。その結果,大きさ20nmの金コロイドでは,散乱光の強度が弱すぎで個々を区別して計測できなかったが,40nm以上の大きさの金コロイドでは,散乱光の強度が充分強かったために,個々の金コロイド粒子を区別して画像化することができた。さらにブラウン運動の解析を行ったところ,大きさから予想される挙動に一致した。今後はこのような単一金コロイド粒子の拡散ダイナミクスについて,非結像光を用いた計測を行う予定である。
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