2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22655025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 教授 (20211914)
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Keywords | パラジウム / アルケン / アルコール / 環化反応 / イソプレノール / テトラヒドロフラン |
Research Abstract |
本年度はまず、イソプレノールの分子内環化反応について検討した。本反応においては、マルコフニコフ型環化反応が起これば、熱力学的に不利な4員環エーテル(オキセタン)が得られるのに対し、反マルコニコフ型環化反応が起これば、安定な5員環エーテルである3-メチルテトラヒドロフランが得られる様、二重結合と水酸基を配置している。ルテニウム、ロジウム、パラジウム触媒について検討した結果、PdCl_2-CuCl_2触媒系を用いた場合のみ、生成物が得られた。しかしながら、GCおよびGC-MS分析により、本生成物は目的とする3-メチルテトラヒドロフランではなく、溶媒として用いたメタノールがさらに反応して環化した2-メトキシ-3-メチルテトラヒドロフランであった。このことはアルコールをエタノール、2-プロパノールに替えた場合にもそれぞれ対応する2-アルコキシ-3-テトラヒドロフラン誘導体が得られたことから示された。一方、イソプレンプラントとしては、アルコキシ基のない3-メチルテトラヒドロフランが特に重要であることから、得られた2-アルコキシ-3-テトラヒドロフランから3-メチルテトラヒドロフランを合成するため、さらに脱メタノールと水素還元という2工程が必要となる。そこで、PdCl_2-CuCl触媒を用い、溶媒をDMEに替え、水共存下、酸素雰囲気下で反応を行うことにより、3-メチルテトラヒドロフランの二量体と考えられる生成物を得た。本生成物は、水を添加しない場合、およびアルゴン雰囲気下では全く得られず、さらに、水の替りに重水を加えた場合にも全く得られなかった。この結果は、本反応において重水素効果が表れており、水からの水素引き抜きが律速段階であることを示している。今後、本生成物の構造を明らかにするとともに、さらに末端アルケンの反マルコニコフ水和反応の開発に挑戦する。
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