2010 Fiscal Year Annual Research Report
第一遷移元素触媒を活用した炭素―水素結合切断を伴う酸化的環化反応の開発
Project/Area Number |
22655027
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20183626)
|
Keywords | 合成化学 / 第一遷移元素 / 炭素水素結合切断 / 複素環化合物 |
Research Abstract |
本研究では、安価で取り扱いの容易な第一遷移元素を触媒として用いた、反応基質のsp^<3>およびsp^<2>炭素一水素結合の切断を鍵とする、効率的な複素環構築法や複素環誘導体化法の開発を行うことを目的としている。交付申請書に記したように、本年度はまず、銅を用いるメチルアニリン類と種々アルケンとの酸化的環化カップリング反応について検討した。その結果、塩化銅を触媒とすると、室温、空気下で電子豊富な環状エノールエーテルや電子不足なマレイミド類との反応が進行し、対応するテトラヒドロキノリン誘導体が生成することがわかった。特に後者を用いた場合に良好な生成物収率が得られた。これらの反応においては、溶媒に用いたアセトニトリルと銅の錯体種が空気中の酸素により活性化され、その酸化能によってメチルアニリン基質から生成するイミニウムカチオン種およびアミノメチルラジカル種がそれぞれ鍵中間体として関与していると考えられる。マレイミドを用いた反応生成物は、アルミニウムヒドリド還元剤での還元やヒドラジン類とのアミン交換反応によってさらなる誘導体化が可能であった。一方、銅を用いた炭素一窒素結合生成についても検討を行い、オキサジアゾールやベンゾオキサゾールのようなアゾール類とNHスルホキシイミンの酸化的直接カップリングが、触媒として酢酸銅を用いると室温空気下で効率よく進行することを見出した。また、関連する反応としてアゾールとフェニルアジン類の炭素-炭素カップリング反応が、加熱下、量論量の酢酸銅を必要とするものの、選択的に効率よく起こることを見出した。
|
Research Products
(5 results)