2010 Fiscal Year Annual Research Report
未踏炭素同素体ポリインの有機金属化学的手法による重合法の開発とその物性評価
Project/Area Number |
22655031
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂本 健吉 静岡大学, 理学部, 教授 (50187035)
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Keywords | クロスカップリング反応 / ポリイン / シクロプロペノン / 炭素同素体 / マスクしたアセチレン / シクロプロペノンケタール / カルビン / 炭素材料 |
Research Abstract |
本年は、まずクロロリチオアセチレンのクロスカップリング重合を検討した。モノマーとなるクロロリチオアセチレンを合成するため、トリクロロエチレンとブチルリチウムの反応を行った。溶媒や反応剤の濃度、温度や反応時間などの最適化を行い、ジエチルエーテル中、-78℃の反応条件で求めるクロロリチオアセチレンがほぼ定量的に生成することを明らかにした。得られたクロロリチオアセチレンは空気に触れると爆発する場合があり注意が必要であるが、室温のジエチルエーテル溶液中では安定である。この溶液に各種の遷移金属触媒を加えたところ、黒色の不溶物が得られた。この生成物には標的物質であるポリインが含まれていると期待されるため、現在詳しく検討している。 また、シクロプロペノンケタールを新規な「マスクしたアセチレン」モノマーとして検討した。文献記載の方法で合成したシクロプロペノンケタールのビニル水素をブチルリチウムによりリチオ化し、クロロシランおよびクロロスタンナンとの反応により、シリル基およびスタンニル基の導入を行った。また、シクロプロペノンケタールとヨウ素や臭素の反応によりハロゲン化を試みたが、これは不首尾に終わった。この原因はシクロプロペン環自体やケタール保護基がハロゲン分子や反応で発生するハロゲン化水素と反応し、開環してしまうためであると推定された。そこで、より安定な保護基であるジチオケタールを保護基とする新規なオリゴマーの合成を試み、その単離に成功した。
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