2011 Fiscal Year Annual Research Report
未踏炭素同素体ポリインの有機金属化学的手法による重合法の開発とその物性評価
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22655031
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂本 健吉 静岡大学, 理学部, 教授 (50187035)
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Keywords | クロスカップリング反応 / ポリイン / シクロプロペノン / 炭素同素体 / マスクしたアセチレン / シクロプロペノンケタール / カルビン / 炭素材料 |
Research Abstract |
(1)昨年度に引き続き、クロロリチオアセチレンのクロスカップリング重合を行った。トリクロロエチレンとブチルリチウムの反応により合成したモノマー、クロロリチオアセチレンのテトラヒドロフラン溶液に各種の遷移金属触媒(パラジウム錯体、ニッケル錯体、白金錯体、鉄錯体など)を加えたところ、白金錯体を用いた場合に、黒色の不溶物が得られた。赤外吸収スペクトル解析や元素分析などを行ったところ、この不溶物中にポリインが含まれていることが示唆された。また、クロロリチオアセチレンを原料とし、シリル基、ボリル基、有機亜鉛基、スタンニル基など、種々の置換基を有するクロロアセチレン誘導体の合成にも成功した。これらの新規化合物はクロスカップリング重合のモノマーとして期待される。 (2)昨年度に合成したシクロプロペノンケタールのシリルおよびスタンニル誘導体の合成収率の改善に成功した。本年度は、これらに加えてボリル基や有機亜鉛基を有するシクロプロペノンケタールを新規な「マスクしたアセチレン」モノマーとして合成した。 (3)昨年度、合成単離に成功したジチオケタールを保護基とする新規なオリゴマー、2,3-(ビストリメチルシリル)シクロプロペンチオンの反応性についても検討した。この化合物の重合体は得られなかったが、開環をともなうシリル基の転位反応が起こり、新規な集積型二重結合を有する化合物、3,3-ビストリメチルシリル)プロパ-1,2-ジエン-1-チオン誘導体が定量的に得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリゴマーの合成に成功しており、この点においては順調である。しかし、モノマー合成の収率が低いため、重合についての条件検討が不十分であり、ポリマーの合成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
安定に単離することが可能なモノマーの大量合成を行い、重合反応について検討を行う。不安定な誘導体については、置換基を嵩高くすることにより速度論的安定化を図る。
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