2011 Fiscal Year Annual Research Report
逆ストークス蛍光発光を示す単分子色素の開発とその応用
Project/Area Number |
22655033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中條 善樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (70144128)
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Keywords | アップコンバージョン / デンドリマー / 三重項-三重項消滅 |
Research Abstract |
アップコンバージョンを示す物質を光駆動型薬剤と共存させることで、生体深部でも励起が可能になると考えられる。すなわち、この技術を光医療へ応用することで、光照射の到達深度の向上が期待できる。この目的を達成するために、アップコンバージョンを行う水溶性発光体の開発を行った。pH7のリン酸緩衝液中において、増感剤としてオクタエチルポルフィリンの白金錯体、発光物質としてアントラセン類縁体やペリレンを用い、以前までに開発した高い分子内包能を有する修飾デンドリマーに取り込ませることで複合体を形成させた。そこに537nmの可視光を照射すると400nmから始まる色素由来の様々な蛍光発光が得られた。これはアップコンバージョン発光の調節が可能となったことを意味する。また、溶存酸素量による発光強度の差についても調べた。その結果、生体中の低酸素状態を模倣したサンプルから強い発光が得られた。この結果は、悪性度の高いがん領域に発現している低酸素状態のみで光反応を進める光源として働かせることに応用が可能となると期待される。さらに、色素の濃度を調節することにより白色発光を取り出すこともできた。本研究で開発した色素は三重項経由で反応が起こるため、有機EL素子中で行われている様に、電気励起でも同様の挙動が得られると考えられる。したがって、高効率な白色発光素子としての応用が期待できる結果を得た。最後に、様々な新規のポルフィリン錯体を合成し、アップコンバージョンを行ったところ、より低濃度で高エネルギーの光を得ることに成功した。これらの結果は、本研究の目標の達成を十二分に示すものである。
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Research Products
(17 results)