2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル活性種の直接安定化によるラジカル重合の新規反応制御法の開発
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22655035
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
右手 浩一 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (30176713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 朋広 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (80314839)
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Keywords | ラジカル活性種 / リチウムイオン / 安定化 |
Research Abstract |
2.2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)を開始剤とするトルエン中-40℃でのN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)(3.0mol/L)のラジカル重合系にビス(トリフルオロメタンスルポニル)イミドリチウム(LiNTf2)(1.0mol/L)を添加すると,UV-LED(375nm)を10秒照射しただけでサイズ排除クロマトグラフィーの排除限界分子量を越える分子量のポリマーが収率15%で得られることがわかった. 重合溶媒をトルエンからメタノールやアセトニトリルなどの極性溶媒に変更し,モノマーに対して等モル量のLiNTf_2存在下でDMAAmやN-イソプロピルアクリルアミドの重合を行ったところ,いずれのモノマー,いずれの溶媒でも収率と分子量が増加する傾向が見られ,アセトニトリル中でその傾向が強くなることもわかった,Li塩を添加するとpoly(DMAAm)の2連子タクチシチーは変化し,さらに3連子以上の立体規則性連鎖が変化していることを示唆する結果も得られた. N-n-プロピルメタクリルアミドの重合では重合の加速効果だけでなく立体規則性への影響がより顕著に見られた.たとえば,メタノール中-40℃では,Li塩を添加しないとtrace量のポリマーしか得られなかったが,Li塩を添加するとrr3連子が83.3%のポリマーが得られた.さらに,-80℃まで温度を下げて重合を行ってもポリマーが得られ,rr3連子が91.5%に達した.メタノールよりも極性の低い溶媒を用いると,収率および分子量の増加とともに,ヘテロタクチシチーが増加する傾向がみられた.特に,アセトニトリル中0℃で行った重合ではmr3連子が63.6%のポリマーが得られた. ラジカル共重合においてもLi塩の添加効果は見られた.たとえば,メタクリル酸メチルと塩化ビニリデンのラジカル共重合系にLi塩を添加すると,収率が著しく向上することがわかった. 以上の結果より,Li塩を添加すると,得られるポリマーの収率や分子量だけでなく立体規則性連鎖にも大きな影響があらわれることがわかった,このような効果があらわれたのは,Li^+-ラジカル相互作用によって成長ラジカル種が安定化されたのが一因ではないかと考えられる.
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Research Products
(4 results)