2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大パラジウムナノ粒子の結晶構造依存水素吸蔵特性の解明
Project/Area Number |
22655040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺西 利治 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50262598)
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Keywords | パラジウム / ナノ粒子 / 結晶構造 / 多重双晶 / 水素吸蔵 |
Research Abstract |
金属ナノ粒子は、バルクと異なる水素吸蔵量、水素の吸蔵/放出温度の低減、吸蔵/放出過程の速いレスポンス等の観点から、次世代水素吸蔵材料として期待されている。水素吸蔵材料の研究は、より高密度に水素を吸蔵できる材料開発という応用面に加え、量子効果が大きく影響する水素の存在状態という学術研究上の重要性を持つ。中でも、多重双晶正二十面体Pdナノ粒子は、単結晶体より多くの水素を吸蔵することが予想されている。本年度は、まず、40nm多重双晶正二十面体Pdナノ粒子の水素吸蔵特性について検討した。その結果、結晶構造を維持したまま、バルク状Pdよりも低圧で水素を吸蔵することが分かった。次に、Pdナノ粒子の結晶構造の違いが水素吸蔵/放出特性に及ぼす影響を検討するため、単結晶Pdナノ粒子の合成を行ったところ、一辺10~13nmの単結晶立方体Pdナノ粒子の合成に成功した。今後は、水素吸蔵/放出特性に及ぼすPdナノ粒子の結晶構造の影響について詳細に検討する。また、シングルナノメートルPdナノ粒子で観測されている強束縛水素が存在する臨界サイズを明らかにするために、シングルナノメートルPdナノ粒子の新たな合成法の開拓を行った。アミンおよびカルボン酸存在下、Pd(II)イオンの水素化ホウ素塩還元によりPd核をin-situでホモエピタキシャル成長させることで、アミンで保護された多結晶Pdナノ粒子を2~5nmの範囲で粒径制御することに成功した。さらにこの方法が大量合成(~0.5g/バッチ)にも適用できることを明らかにした。
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