2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大パラジウムナノ粒子の結晶構造依存水素吸蔵特性の解明
Project/Area Number |
22655040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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Keywords | パラジウム / ナノ粒子 / 結晶構造 / 多重双晶 / 水素吸蔵 |
Research Abstract |
金属ナノ粒子は、バルクと異なる水素吸蔵量、水素の吸蔵/放出温度の低減、吸蔵/放出過程の速いレスポンス等の観点から、次世代水素吸蔵材料として期待されている。水素吸蔵材料の研究は、より高密度に水素を吸蔵できる材料開発という応用面に加え、量子効果が大きく影響する水素の存在状態という学術研究上の重要性を持つ。中でも、多重双晶正二十面体Pdナノ粒子は、単結晶体より多くの水素を吸蔵することが予想されている。本年度は、15nmおよび40nmの多重双晶正二十面体Pdナノ粒子、10nm単結晶正六面体Pdナノ粒子、6.6nm多結晶球状Pdナノ粒子の水素吸蔵特性について検討した。いずれのナノ粒子でも、結晶構造を維持したまま、バルク状Pdよりも低圧で水素を吸蔵することが分かった。また、水素吸蔵/放出挙動が結晶性・形状・粒径により大きく異なり、単結晶中において水素が強く束縛されることを見出した。水素吸蔵量に関し、シミュレーションから単結晶ナノ粒子より多重双晶ナノ粒子がより多くの水素を吸蔵すると予想されていたが、同サイズの多重双晶正二十面体ナノ粒子の水素吸蔵量が単結晶正六面体ナノ粒子より小さいことが分かった。今後は、種々の温度でPCT測定を行い、水素化物生成エントロピー変化とエンタルピー変化を求めるとともに、水素の吸蔵/放出によるPdナノ粒子のダイナミックな格子変化を放射光を用いて検討する。さらに、J-PARCの高強度中性子全散乱測定から、水素吸蔵・死蔵サイトの局所構造の解析、水素-水素相関の導出、ナノメートル程度での水素分布の揺らぎの観測を行い、水素吸蔵に適したナノ粒子の設計指針を示す必要がある。
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