2011 Fiscal Year Annual Research Report
光環化反応を利用したπ共役系1次元分子ワイヤーの光形成
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22655042
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (40221197)
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Keywords | π共役縮環構造 / 1次元分子ワイヤー / 会合構造形成 / 光制御 / 分子エレクトロニクス材料 |
Research Abstract |
ヘキサトリエン型フォトクロミック分子に特徴的なペリ環状光閉環反応とこれに継続して進行する脱離反応を利用した芳香縮環構造の光形成反応を利用し、π共役系の発達した平面構造分子を光生成させることでπスタックカラムナー構造を形成させる新しい光反応性分子システムの構築を目指す。平成23年度は光脱離反応の機構を解明する事を目的に反応活性中心炭素原子に光脱離性の強いエトキシ基と脱離性の低いメチル基を導入した分子を合成し、それらの分子の光縮環反応後の後続反応の機構を検討した。メタノール中で光照射を行うと、エトキシ基がメトキシ基に交換する加溶媒分解反応が進行する事が見いだされた。生成物のX線構造により、この交換反応が単純な脱離と付加の機構で進むのではなく、転移を伴う事が明らかになった。さらにほぼ100%の位置および立体選択性を有するユニークな光誘起反応であることが明らかになった。中間体としてカルボカチオンを仮定してDFT法による量子化学計算により反応の位置および立体選択性を説明することに成功し、カルボカチオン経由の反応機構を証明した。また酸を添加しない高極性溶媒中においては一部、協奏的な反応機構の寄与も認められた。また脱離反応は光照射後、暗所で酸を添加する実験でも脱離反応が観測されたことから脱離反応事態は熱反応であることを明らかにした。さらに、光脱離により形成する縮環体分子において光により沈殿が形成する事を見いだし、πスタック型の分子ワイヤー構造が形成する事を透過型電子顕微鏡観測などから明らかにした。
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